ギャラさん映画散歩

映画・話題など感想や記録・・・

男はつらいよ お帰り寅さん(山田洋次監督2018年作品)

感想など 「KY」つまり「空気が読めない」という隠語めいた言葉がある。たしかに寅さんの物語は、周囲の雰囲気が読めない厄介者の人生ドラマであり、ホームコメディであり、成就しない恋愛ドラマもあった。厄介者、いわば適応困難者なのだ。人が世間に適応す…

鎌倉殿と千葉常胤

今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿と13人」は久しぶりに楽しんでいる。 源頼朝はわが村房総と関わり合いが結構あるからだ。前々回あたりから上総介広常や千葉常胤等の豪族が登場してきた。 千葉常胤 上総介広常 頼朝が安房に逃れて、真っ先に平氏討伐に賛同したの…

放浪記(成瀬巳喜男監督1962年作品)

花の命は短くて、 苦しきことのみ多かりき。 (「放浪記」から林芙美子の言葉 ) あらすじ うだつの上がらない父謙作(織田正雄)を九州に残して、林ふみ子(高峰秀子)は、母きし(田中絹代)と一緒に東京の下宿先に住む。母と一緒に衣類の行商をするが、不景気で売…

晩春(小津安二郎監督1949年作品)

あれは一世一代の嘘だったんだ。 (「晩春」から曽宮周吉の言葉) あらすじ 56歳の大学教授の曽宮周吉(笠智衆)とひとり娘で27歳の紀子(原節子)は鎌倉に2人で住んでいる。周吉は妻を早くに亡くしたため紀子が家事をまかされ、父親の面倒も見てきた。 ある日、紀…

麦秋(小津安二郎監督1951年作品)

「みんな離れ離れになったが、 しかし、私達はいい方だよ。欲を言えば切りがない」 「本当に幸せでした」 (「麦秋」から周吉としげの会話) あらすじ 北鎌倉に住む間宮周吉(菅井一郎)家は、妻しげ(東山千栄子)、長男康一(笠智衆)、康一の妻史子(三宅邦子)と男…

流れる(成瀬巳喜男監督1956年作品)

若い頃は、素人と玄人の領分は、はっきりしていたの。 私たちは素人に負けまいとツッパリを教え込まれた。 この頃は、着るものも髪型も芸事も特別なものがなくなった。 (「流れる」からおつたの言葉) あらすじ 浅草柳橋の花街にある芸者置屋「つたの家」の家…

スティング(ジョージ・ロイ・ヒル監督1973年作品)

「イカサマ師が市民と同じじゃしまらねえ。やりがいはある。」 (「スティング」からゴンドルフの言葉 ) あらすじ 1936年9月。米国シカゴ近郊のジョリット。ナンバーズ賭博場で、その日の上納金(1万1千ドル)を紐育の元締めまで運ぶ男が、途中の道路で狂言詐欺…

わたしの渡世日記(高峰秀子著1976年刊)

「演技に先立つものは、常に真実である 人の痛さを知る心だろう」 (エッセイ「わたしの渡世日記」から高峰秀子の言葉) あらすじ 高峰秀子の実の両親は、平山錦司とイソだが、秀子は錦司の妹平山志げの養子となった。母イソの死後、錦司は秀子の兄3人と弟1人…

東京物語(小津安二郎監督1953年作品)

やっぱりあんたは、ええ人じゃ、正直で。 妙なもんじゃ、自分が育てた子よりも 他人のあんたが、わしらにようしてくれて、ありがと。 (「東京物語」から周吉の言葉) あらすじ 尾道に住む定年生活の平山周吉(笠智衆)と妻とみ(東山千栄子)は、20年ぶりに息子や…

秀子の車掌さん(成瀬巳喜男監督1941年作品)

「しほの山差し出の磯にすむ千鳥君が御代をば 八千代とぞなく」(古今和歌集より) (「秀子の車掌さん」からおこまのガイドによる古歌) あらすじ 甲府あたりの温泉町に近い山間部の街道を走るオンボロバス。車掌のおこま(高峰秀子)は17歳。相棒の運転手園田(藤…

ノッティングヒルの恋人(ロジャー・ミッシェル監督1999年作品)

「忘れないで、私も一人の女よ。好きな男に 愛してほしいと願っているわ。」 (「ノッティングヒルの恋人」からアナ・スコットの言葉 ) あらすじ ロンドンの一角にあるノッティングヒルという街。そこで旅行書専門店を営むウイリアム・タッカー(ヒュー・グラ…

サウンド・オブ・ミュージック(ロバート・ワイズ監督作品)

信条と希望を忘れずに 努力すれば夢はかなう (「サウンド・オブ・ミュージック」ジュリー・アンドリュースの言葉) あらすじ オーストリア、ザルツブルグの修道院で、修行中のマリア(ジュリー・アンドリュース)は、周囲から「やんちゃ・妖精・道化者」と言わ…

天地明察 (滝田洋二郎監督2012年作品)

「授時暦を切れ!」 (「天地明察」から関孝和の激励) あらすじ 江戸幕府四代将軍家綱の頃。将軍家お抱え囲碁四家の一つ安井家二代目棋士安井算哲(岡田准一)は、天文・暦学・和算に秀でていて時の将軍後見役会津藩主保科正之(松本幸四郎)江戸屋敷に逗留し日時…

蜩ノ記(小泉堯史監督2014年作品)

「我が藩の騒動は公儀にも知れた。お家のために其の命と名誉を わしに預けてくれ」 (羽根藩六代藩主三浦兼道から戸田秋谷への下命) あらすじ 豊後羽根藩の奥祐筆(書記)の壇野庄三郎(岡田准一)は、お役目中に風で筆の墨がご同役水上信吾(青木崇高)の家紋に飛…

ゲゲゲの女房(鈴木卓爾監督2010年作品)

「貧乏は平気です。命までは取られませんから・・」 (「ゲゲゲの女房」からの茂の言葉 ) あらすじ 鳥取県安来にある酒屋の娘飯塚布枝(吹石一恵)は、周囲の男性より背丈が高く縁遠いため29歳になった。そんな布枝に見合い話が来た。お相手は10歳年上の戦争で…

はなちゃんのみそ汁(阿久根知昭監督2015年作品)

「丈夫で強い子になるにはちゃんと食べる。 食べることは作ること。いいかげんにはせん。」 (「はなちゃんのみそ汁」の千恵からはなへの言葉 ) あらすじ 1998年。安武信吾(滝藤賢一)は34歳で、西日本新聞社の地方支局に勤務している。その職場に音大大学院声…

アリスのままで(リチャード・グラツァー他監督2015年作品)

「なくす技を覚えるのは簡単。多くのモノが失われるのは 災いではない」 (「アリスのままで」で引用の詩人エリザベス・ビショップの言葉 ) あらすじ コロンビア大学の言語学教授のアリス・ハウランド(ジュリアン・ムーア)は、UCLAに招かれて講演を行う。講演…

万引き家族(是枝裕和監督2018年作品)

「僕、わざと捕まったんだ。」 (「万引き家族」から翔太の言葉 ) あらすじ 東京の下町にあるボロ家屋に柴田初枝(樹木希林)は、息子治(リリー・フランキー)と妻信代(安藤サクラ)と孫翔太(城桧吏)、そして信代の妹亜紀(松岡茉優)と5人で暮らしている。ただ、公…

素晴らしき日曜日(黒澤明監督1950年作品)

「夢では腹はふくれないと言ったけど。そいつは取り消しだ。 今日は二食抜きだが腹は減らないよ。」 (「素晴らしい日曜日」から雄造の言葉) あらすじ 終戦直後の東京。雄造(沼崎勲)は復員して友人の家に下宿しながら職を得たが、生活に余裕はない。雄造には…

アラビアのロレンス(デーヴィット・リーン監督1962年作品)

戦いの美徳は、若者の美徳だ。 そして平和は老人が請負う ロレンスは両刃の剣で、もう厄介者なのだ。 (「アラビアのロレンス」からファイサル王子の言葉) シナイ半島、ダマスカス T.E.ロレンス実像 あらすじ 1916年、英国陸軍のカイロ司令部では、軍規違反の…

スモーク(ウェイン・ワン監督1995年作品)

「嘘を付いて物を盗んでいいことをしたのか?」 「君はいいことをした。彼女を幸せにした。素晴らしい話だ。」 (「スモーク」からオーギーとポールの会話より) あらすじ ブルックリンの街角で煙草屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)は、毎日同じ場所、…

海ほたる

孫が都内品川区にあるコナミ本社で「新体操」千葉地区発表会に出ると言うので見に行った。 孫はまだ初級なのだが、中学生の中上級の人達はさすがな演技を見せていて感動した。 そこへ行くために東京湾アクアラインを通った。 途中、海ほたるで休憩した。 天…

0.5ミリ(安藤桃子監督2014年作品)

「お互いにちょっとだけ目に見えない距離を歩み寄れば 心で理解できることってあるよね。」(・∀・) (「0.5ミリ」から山岸サワの言葉 ) あらすじ 地方都市の介護ヘルパー山岸サワ(安藤サクラ)は、介護派遣会社の独身寮で生活をしている。 寝たきり高齢者片…